双極性障害での抗うつ剤の処方の是非
双極性障害で治療を受けている人で抗うつ剤を処方されている人多いと思います。
私自身、書籍を読んだ時に双極性障害の治療で抗うつ剤はあまり使用しない方が良いと読んだ記憶があるので、ちょっと、Twitterを使用して色々な精神科の先生がどのように考えているのか少し調べてみました。
- それぞれの精神科医の先生の意見
- 実際の双極性障害の患者はどれくらい抗うつ剤を処方されているのか?
- 双極性障害で抗うつ剤を飲んでいる場合、注意する症状
- Activation症候群(賦活症候群)とは?
- そんな僕も Activation症候群(賦活症候群)みたいになった。
それぞれの精神科医の先生の意見
理化学研究所 加藤忠史 先生の場合
双極性障害治療の心得:社会的後遺症の予防が大事。躁状態を軽視せず強力に治療。抗うつ薬を使わず、BZは極力避け、余計な治療をしない。リーマス(200)3錠眠前のみを目指す。リチウムを検討しないという選択肢はない。心理教育が重要。病気の受容に関心を持つ。双極Ⅱ型では治療にメリハリを。
— 加藤忠史 (@KatoTadafumi) 2014年11月9日
理化学研究所で双極性障害の研究をしている加藤忠史 先生の場合、「抗うつ薬を使わず、BZは極力避け」と書かれています。
この先生の場合、はっきりと抗うつ剤は使わずと記載しているのですが、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤や睡眠薬などの処方も極力避けた方が良いと記載しています。
おそらく、普段診療をしていないと思うので、そのあたりのこともありますが、双極性障害を専門に研究をしている学者の方ということで説得力があります。
精神科医 ぷしこノート 先生の場合
双極性障害でも、抗うつ薬が効くひとも中にはいる。ただ、そんな人は抗うつ薬の継続で不快で苛々し続ける "ACID" が生じるリスクが高い。やはり双極性障害に抗うつ薬は不向き。 pic.twitter.com/Tl3pGJEYgQ
— 精神科医 ぷしこノート (@Psycho_Note) 2017年9月7日
Twitterで色々とつぶやいている先生です。この先生の場合、双極性障害で抗うつ剤が効く人もいるけど、不向きといっておられます。
長期的に見ると使用しない方が良いと言うことでしょうか。
普段、診療もしている先生だと思うのですが、この先生も双極性障害の人への抗うつ剤の処方について肯定的というわけではなさそうです。
精神科医 片山信吾 先生の場合
「うつ状態でも双極性障害とうつ病では治療が違う」双極性うつ病に対する抗うつ薬の投与は、躁転、苛々、急速交代化が言われている。単独の使用は避けるべき。双極性障害の治療で最大のポイントはご自分に合ったムードスタビライザーの種類と量を決めること。他の薬を多数飲む必要はありません。
— 精神科医 片山信吾 (@Katayama007) 2017年7月16日
この先生もぷしこ先生と同じように双極性障害の人が抗うつ剤を飲むとイライラの症状がでるということを記載しています。
ただ、この先生の場合単独での使用は避けるべきと記載しているので、双極性障害の患者の方への抗うつ剤の処方に関してはしないというわけではなさそうです。ただ、気分安定剤が最大のポイントと言っておられます。
青い薔薇 先生の場合
うつ病は、基本的にうつ病相を治すことが目標となります。双極性障害の場合、診断された時点から、病相を予防することがメインとなります。双極性障害に対し、抗うつ薬は慎重投与になります。その理由は、躁転、急速交代化を引き起こすことが懸念されるからです。
— 青い薔薇 (@Trans_Blue0630) 2013年5月22日
双極性障害患者さんが抗うつ薬を投与されると、躁転や急速交代化による不安定化、さらにはActivation症候群や抑うつ混合状態が誘発されることによる自殺行為のリスクが高まる。単極性うつ病か双極性障害かの鑑別を早期になし得ることが大切だが、実際には難しい問題である。
— 青い薔薇 (@Trans_Blue0630) 2013年10月25日
@masayukimasaaki さん
— 青い薔薇 (@Trans_Blue0630) 2016年2月24日
双極性障害に対して、抗うつ薬(レクサプロ)を使うということは、特別な場合を除きあり得ないと思うのですが...
青い薔薇先生の場合は、こんな感じ。この先生も双極性障害の方への抗うつ剤の処方はそれほど積極的ではないようです。
実際の双極性障害の患者はどれくらい抗うつ剤を処方されているのか?
質問です。
— りゔ🎖 (@live_and_me) 2017年11月25日
双極性障害で抗うつ剤を処方されている。
Twitterにいる精神科医の人はそれほど積極的に抗うつ剤を処方するということはないようですが、実際に患者の方がどの程度、抗うつ剤を処方されているのかアンケートをとってみました。
その結果、Twitterにいる精神科医の方のいっているスタンダードと若干違う結果が出ました。
実際の診療では、不安障害などの併発や双極性障害の患者側の要望(医師側としては要望があれば、治療の中断を避けるため抗うつ剤を出してでも診療に来てもらう)など色々とあり、抗うつ剤を処方されている方が多いのかもしれません。
双極性障害で抗うつ剤を飲んでいる場合、注意する症状
どの先生も双極性障害の患者に単剤では抗うつ剤を使うことは否定的ですが、それぞれの先生は、躁転や急速交代化、イライラなどのActivation症候群(賦活症候群)など抗うつ剤の処方により引き起こされる症状に注意しているようです。
個人的に抗うつ剤で病状が改善されるのであれば問題ないと思います。これを先生との相性と言いますか。
ただ、抗うつ剤の処方を受けている方は、躁転、急速交代化やActivation症候群(賦活症候群)には注意してほしいと思っています。
Activation症候群(賦活症候群)とは?
不安、焦燥、不眠、敵意、衝動性、易刺激性、アカシジア、パニック発作、軽躁、躁状態などを呈し、悪化するとリストカットなどの自傷や、自殺行為に至ることもあり危険である。
通常これらの症状は一過性のものであるとされる。双極性障害の諸症状とも似ており、閾値下の躁転、または躁転そのものとする意見もあり、うつ病エピソードの治療中にこれらの症状が現れた場合、鑑別は慎重にすべきである。
賦活症候群 - Wikipedia
Activation症候群(賦活症候群)とは、以上のような症状のことを言います。
閾値下の躁転と書かれていますが、軽い躁転の症状とも言えそうです。双極性障害の患者の方で、不安や焦燥や不眠で悩んでいる方は、Activation症候群(賦活症候群)の可能性も疑って見てはどうでしょうか?
そんな僕も Activation症候群(賦活症候群)みたいになった。
そんな僕は、双極性障害の患者への抗うつ剤の処方に関しては、否定的です。
なぜかというと、僕も抗うつ剤を飲んでイライラ・不安・焦燥・不眠などの症状が出たことがあります。
抗うつ剤を飲んで、仕事をしている時は、敵意などの症状も出ていたと思います。
混合状態だった気もします。
初めて躁転した時は、本当に綺麗な躁転(綺麗に幸せな気持ちというか)で特に不安や焦燥感というものはなかったのですが、その後に抗うつ剤を飲んだ時にこのような症状が出てきました。
もしかしたら、双極性障害が急速交代化したような気もします。ストレスがかかると一気に躁になるというか。
なので、双極性障害で抗うつ剤を処方されている方は、不安、焦燥、不眠、敵意、衝動性などのActivation症候群(賦活症候群)という症状が出る可能性があるということを是非、意識していてほしいと思っています。
また、是非そのような症状のある人は、主治医に相談してください。